2018.7.23 Sustainavision News Letter Vol.43: 東京オリンピック・パラリンピックをサーキュラー・ゲームに

2018.7.23 Sustainavision News Letter Vol.43: 東京オリンピック・パラリンピックをサーキュラー・ゲームに

サステイナビジョンの下田屋です。
このたびの中国地方の豪雨災害により、お亡くなりになられました方々のご冥福を心よりお祈りいたしますとともに、被害を受けられました地域の皆様にお見舞いを申しあげます。
一日も早い復旧を心よりお祈りいたします。


このニュースレターは、欧州・英国ロンドンからCSR(企業の社会的責任)/サステナビリティについて、ご連絡をさせていただいております。(Monthly News Letterの定期購読はこちらから)

さて今回は、「東京オリンピック・パラリンピックをサーキュラー・ゲームに」をお伝えさせていただきます。
東京オリンピック・パラリンピックまであと2年と迫ってきた。東京オリンピック・パラリンピック(以下東京大会)がサステナビリティについて取り組むべき課題の中に「サーキュラー・エコノミー」の要素を取り入れていく考え方がある。

英国や欧州では、公共調達や民間調達で使用されているのは、サーキュラー・エコノミーのアプローチである。

英国の環境コンサルティング会社「グローバル・リソース」のディレクターで、元WRAPの共同参画部長であり、ロンドン大会2012の外部アドバイザーであったマービン・ジョーンズ博士は、「大会でサーキュラー・エコノミーを実現するにはサーキュラー型の考え方をする必要がある。サーキュラーな製品にはサーキュラーな顧客サーキュラーな顧客が必要となる。サーキュラー型の調達を行えばサプライチェーンの質の向上につながる。」と述べる。

ジョーンズ博士は、「サステナビリティ全体を見ると廃棄物は一部でしかないがとても重要な一部で東京大会前には何も存在せず東京大会後も何も残らない状態にしなければならない。ロンドン大会の組織委員会は大会の終わった3ヶ月後に解散したがそれまでに使用されたもの全てが処理されていなければならなかったしまた観客にとっても優しい方法でなければならなかった。」と述べる。

ジョーンズ博士はまた、「従来のやり方は直線的なアプローチで材料を調達して製造して流通させ利用して捨てるというもの。もし世界中の全員が西洋の消費レベルと同じ消費レベルをすれば地球の5倍の資源が必要となる。我々の地球は一つしかないので我々は使い終わったものをもう一度製造の過程に取り入れるようなループを作らなければならない。」と述べ、サーキュラー型の大会を行うように提言する。

ロンドン大会では、使うものはどこから来て、どう使われ、使われた後にどうなるのかという3つの点が考慮されたという。サーキュラー型の大会運営は、企業に取っても国に取っても、経済的に有益な制度となるという。

また、オリンピックの調達をする上で忘れてはいけないのは、インプットがあって初めてアウトプットがあるということ。ロンドン大会の組織委員会で実施した項目の中に、素材のインプットをコントロールしたことが挙げられる。それはアウトプットにつながり、廃棄物となるからだ。

マービン・ジョーンズ博士(撮影 下田屋 毅)

ロンドン大会では、廃棄物は次の
①リサイクル可能なもの、
②食品など堆肥化可能なもの、
③リサイクルできないもの、の3つに分類された。
環境影響の視点では、③ではなく、①と②に分類されるものをできるだけ使用するのが良いとされる。またロンドン大会では、サプライヤーの仕様として、サプライヤーが提供した商品のパッケージは、そのサプライヤーが大会後に回収する責任とした。

さらにロンドン大会では、サーキュラー型のサステナビリティ調達を取り入れる上で、4つの主な目標を取り入れた。
①環境への悪影響を最小限にすること。
②資源の需要を減らすこと。
③サプライチェーン上の社会的インパクトを減らすこと。
④契約条件がフェアかどうか。

ジョーンズ博士は、「東京大会で使用されるものの中で、再利用・リサイクルできないのであれば使用するべきでない。重要なのはゴミ処理業者からのステークホルダーとしてのアドバイスである。」と述べる。それは業者が、何がリサイクル可能で、何が不可能かを理解しており、それら業者がリサイクル処理できるかどうかが大きなポイントの1つだからだ。

東京大会は過去の大会よりも、より多くの人々が様々な形で視聴することになり注目が集まる。東京大会は、非常に大きな世界的イベントであり、政府、企業、市民が変わることのできる大きなチャンスである。

ロンドン大会は廃棄物ゼロを目指し達成したが、東京大会はロンドン大会の8年後でもあり、東京大会に求められているのは、その進化系であるサーキュラー・エコノミーの要素を入れたサーキュラー・ゲームだ。

サステナビリティの大会運営については次のパリ大会は非常に積極的であり、日本は期待されていないという話も聞く。日本はリサイクルなど先進的に取り組んできたという自負があるはずで、それができると思っている。日本企業が本気を出せばできないことはない。東京大会で是非サーキュラー型の大会運営を目指し達成に向けて進んで欲しい。

(了)
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<サステイナビジョンからのお知らせ>

【7/27(企業向け)諸外国の労働事情について】
(一般社団法人ASSC(アスク)セミナー )

一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC;アスク)は、2018年7月 27日(金)にASSC連続セミナー2018(第4回)「諸外国の労働事情について」を開催し東南アジア各国の労働法の概略を見て、どのような点で違うのか、一緒に考えてみたいと思います。
近年、まだ日本よりも賃金が安いこと、また市場の将来性も見越して、東南アジアの国々で積極的にビジネスを行おうとする企業が増加しています。しかし現地駐在員や進出をしようとしている日本法人が、現地の労働法や実務について必ずしも十分な知識や経験をもっていないため、労働紛争等のトラブルを起こしてしまうことが度々発生しています。これらのトラブルが起こるリスクを低くするために、労働者を管理する駐在員は、現地の労働法について最低限の知識を持っておく必要がありますので、関連のある企業の方は是非ご参加ください。

●とき:2018年7月27日(金)13:30-16:00(13:00開場)
●ところ:ベルサールNEXT東新橋5号館 Room1 (東京都港区東新橋2-11-7 住友東新橋ビル5号館4階)
参加費:7,500円(参加者1名あたり)。正会員企業の方は無料(1法人につき2名まで参加可能)。賛助会員企業の方は5,000円(1法人につき2名まで参加可能)
定員:30名(先着順となります。)
※参加申し込みは、Peatixサイトからお申込みください。
https://assc-monthly-seminar-4th2018.peatix.com/

 

【第17回サステナビリティ(CSR)プラクティショナー資格講習】


世界のCSR/サステナビリティ分野では非常に大きな動きが起きています。欧米の先進企業は、地球規模で発生している気候変動などの環境課題への対応、またサプライチェーンを取り巻く環境問題、そして人権問題に対応するために、CSR/サステナビリティを中核に据えた企業戦略を打ち出しており、この認識・行動が遅れている企業は今後淘汰されてしまうかもしれません。本講習では、ロンドン在住CSRコンサルタントが講師として、欧米企業が何故CSR/サステナビリティに取り組むのか、またそのトレンドを踏まえて、最新事例とともにCSR/サステナビリティを事業戦略に統合する方法をお伝えいたします。

■日時:2018年10月18 日(木)・19日(金) 両日とも9:00~17:00
■場所:東京都港区
■定員:15名
※団体割引、NGO/NPO、大学関係者、公務員、中小企業割引あり
※既にお申込みが始まっております。参加をお考えの方はお早めにお申込みください。
お申込み・お問合せはこちら

【サステナビリティ/CSR報告書の評価】
海外のサステナビリティ/CSRの有識者による御社の英語版のサステナビリティ・CSR報告書についての評価を行います。
サステナビリティ/CSR報告書について、英語で海外のステークホルダーに対して発信する場合には、日本語をそのまま英語に翻訳するだけでは伝わらないことがあります。海外の投資家やステークホルダーに評価されるサステナビリティ/CSR報告書の英語版はどのようなものか、海外の有識者の視点から評価・分析を行い、レポートを提出いたします。
→ 詳細はこちら

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<編集後記>

日本は気候変動の影響なのか、例年よりも早く梅雨が明け夏が到来し、非常に暑い夏を迎えておりますが、そのような中、皆様におかれましてはいかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか?

さて、サステイナビジョンでは、CSR/サステナビリティに関する日本の企業の社内研修を受け賜わっていますが、最近は日本の企業であってもM&Aなど国際的に広がりを見せており、部門によっては、日本人よりも海外の比率が高い部門も出てきています。その中で、総合電機メーカー様からの研修のご依頼は、英語でサステナビリティ研修を実施し、さらにインタラクティブ(双方向)で行うというものでした。研修参加者は欧州部門の方々がほとんどで日本人の比率は1割程度、欧米スタイルと言ってもよいかもしれませんが、参加者が活発に意見を交わし、講師としては、多くの意見を吸い上げて、さらにヒントをあたえ、その意見に対してさらに参加者からコメントを引き出すというもので、参加者の皆さんが非常に生き生きと意見を述べられ楽しく研修をうけていたのが印象的でした。

この研修は会社の一事業部門に対する研修ではありますが、その部門の中でもサステナビリティについての知識や経験が豊富な方々が参加されており、その方々がさらに「サステナビリティ・チャンピオン」としてさらに事業部門の周囲の方々に影響を与えていくことを考えられているようです。日本の企業のグローバル化に合わせたサステナビリティに関する推進についての地道な作業が行われていることを感じる素晴らしい機会となりました。

企業の中で進めているサステナビリティの概念とは何か、自社としてのサステナビリティを推進する上で、その共通の概念を持ち方向性を合わせることは非常に重要となります。サステナビリティの教育は実を結ぶのに時間がかかりますが、企業活動を行う上で必要不可欠なものとなってきています。是非根気強く社内での自社のサステナビリティのコンセプトの醸成を進めていただければと思います。

さて最後に、連日、最高気温を記録や各地で猛暑という言葉を聞きながら今年2018年は「危険な暑さ」という表現が付け加えられています。熱中症対策をしっかりしなければ、下手すると死んでしまう暑い気温にまで上がることを警告するものです。また深夜も寝苦しい日が続いていますが、深夜に熱中症になられる方もいるようですので、昼夜と熱中症対策をしっかりしていただければと思います。

それでは、ニュースレターを最後までお読みいただきありがとうございました。何かご意見やご要望などございましたら、このニュースレターへのご返信をいただければ幸いです。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

(サステイナビジョン下田屋)

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CSRの推進に不可欠な社内浸透教育の重要性

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サステイナビジョン ( Sustainavision Ltd. Company No. 7477687)
下田屋 毅
Takeshi Shimotaya (MBA, MSc, CSR-P, 環境プランナーER)
Managing Director, Japan Foundation London CSR Seminar project adviser
ビジネス・ブレークスルー大学講師(担当科目:CSR/サステナビリティ)
住所: International House, 24 Holborn Viaduct, City of London, London EC1A 2BN, The United Kingdom
Website: http://www.sustainavisionltd.com/
Twitter: @tshimotaya
Facebook: http://www.facebook.com/sustainavision
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