[:ja]2015.9.30 Sustainavision Monthly News Letter Vol.28 : 英国現代奴隷法2015

ロンドン在住CSR/サステナビリティコンサルタント・サステイナビジョンの下田屋です。

このニュースレターは、欧州・英国ロンドンからCSR(企業の社会的責任)/サステナビリティについて、ご連絡をさせていただいております。(お名刺交換をさせて頂きました方、当社主催の講習会にご参加頂ききました方、欧州CSR戦略和訳のダウンロードをして頂いた方等ご縁があった方々にご連絡をさせていただいております。)

今回は、英国現代奴隷法2015についてご報告させていただきます。この法律は、日本企業で英国に拠点のある企業の多くががあてはまる法律のようです。

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この現代においても奴隷労働が行われており、その根絶へ向けた行動が起こされています。

その中の一つとして、英国で現代の奴隷労働について規制する法律である「Modern Slavery Act 2015 (現代奴隷法2015)」が、2015年3月26日に制定されました。

Stop Human traficking Guardian Photo
Photograph: Guardian/Alamy

この法案は英国の大企業に、サプライチェーン上の奴隷制を特定し、根絶するための手順の報告を求めるものです。英国では、人身取引、強制労働、性的搾取等は大きな問題として認識されており、デイビッド・キャメロン首相が、「現代の奴隷制の根絶において、英国が世界をリード」することを表明し法案成立に向けて動き、こうした犯罪への対応する形で、世界で初めて現代奴隷制を規制する法律が制定されました。現代奴隷労働をしている人は、世界に2900 万人がいるとされ、英国内務省は、英国に2013 年時点で1 万人~1 万 3000 人が奴隷状態に置かれていると見積もっています。

「現代奴隷法2015」では、奴隷の定義は、奴隷・隷属・強制労働、人身取引、搾取(性的搾取、臓器提供の強制等)と大きく3つに分けられています。

現代奴隷法2015は、企業に「奴隷・人身取引声明」を会計年度に1度発行することを求め、企業のサプライチェーン上に、強制労働や人身取引などの人権侵害の有無やリスクを確認させるためのものです。

対象は、英国で活動する企業の世界での売上高3600万ポンド(約65.5億)を超える企業で、英国と英国外の1万2千社が対象となっています。

企業は、奴隷・人身取引声明の中に以下の内容を含むこととされています。

  1. 組織の構造と事業及びサプライチェーン。
  2. 奴隷と人身取引に関連する方針。
  3. 事業とサプライチェーンにおける奴隷と人身取引に関連する人権デューディリジェンスのプロセス。
  4. 事業とサプライチェーンのどこに奴隷と人身取引のリスクがあるか、また、そのリスクに対して評価し、管理するために講じるステップ
  5. 奴隷と人身取引が事業あるいはサプライチェーン上で実施されていないことの確保の有効性と適当と認められる業績指標に対しての測定
  6. スタッフに利用可能な奴隷と人身取引に関する研修

また、もし奴隷と人身取引に関して、企業がその内容を確認するステップを踏んでいない場合には、その手立てをしていないことを声明に書かなければなりません。英国政府は、本年10月末までにこの奴隷・人身取引声明についてのガイダンスを発行する予定としています。

奴隷労働としては、2022年にサッカーのワールドカップの開催が決定されたカタールでは、建設現場での出稼ぎ労働者の人権侵害、女性の出稼ぎの家事労働者の強制労働・人身取引、肉体的・性的な暴力などの虐待を受けていることが報告されています。このような現代の奴隷労働によって準備が行われているワールドカップ・カタール大会のスポンサーは、既に非難されるなど関係する企業への風当たりは強くなっています。そして、日本でも、東京オリンピックを5年後の2020年に控え、日本企業が関わる現代奴隷制については、より国際的に注目され確認する必要に迫られることが予想されます。

このような世界の動向を踏まえ、企業は、サプライチェーンも含めて、現代奴隷制について特定するなど、ビジネスと人権に関する問題についての認識をより深め行動を起こすことが求められています。

(おわり)
Modern Slavery Act 2015
http://www.legislation.gov.uk/ukpga/2015/30/contents/enacted

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<イベント情報>

<英国IEMA認定サステナビリティ(CSR)資格講習の開催>
日時:2015年10月15日(木)・16日(金)
両日とも9:00~17:00
場所:東京都港区

残席はわずかとなっています。参加をご希望の場合には、お早目にお申込みください。
団体割引、NGO/NPO、大学関係者、公務員、中小企業割引あり
お申込み・お問合せはこちら

※2016年は2回(3月と10月)を予定しており、3月の回につきましては、2016年3月7日(月)・8日(火)に開催予定です。
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【Global Initiativesイベント】
・Responsible Business Forum 2015
日時:2015年11月2日~4日
場所:MARINA BAY SANDS, SINGAPORE
Website: http://www.responsiblebusiness.com/forum/
※このイベントへの参加、スピーカー、スポンサーにご関心ある場合には、弊社へご連絡ください。
→ こちらから  http://www.sustainavisionltd.com/contact/

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【Innovation Forum イベント】
弊社とInnovation Forumとの提携によりコード「 SustVision15」をお申込みの際に入力されますと以下のイベントが15%割引となります。

・How business can tackle deforestation

Innovation in Sustainable Forestry: Technology, Risk and Collaboration:2nd–3rd November 2015, London

・Why current consumer engagement fails – and how to fix it
Two days of difficult debate about reality and solutions
9th-10th November 2015, London

・Ethical trade and human rights forum
Transforming supply chains for responsible business at scale
19-20 October 2015, London, UK
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【Ethical Corporation イベント】

・Compliance and Conduct Risk in Insurance Summit 
5-6th November 2015 • Tower Grange Hotel, London

・The 9th Annual CR Reporting and Communications Summit 
10-11th November 2015 • Tower Bridge Hilton

The 10th Annual Sustainable Supply Chain Summit Europe
10-11th November 2015 • Tower Bridge Hilton

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<編集後記>

こちらロンドンに9月初旬に戻ってから、各種イベントに参加しています。Business for the Environment Climate Summit (B4E)2015という地球温暖化対策に関するカンファレンス、また18日にはCity University London Cass Business Schoolで開催された「Responsible Leadership」というイベントに参加しました。
この2つめのイベントですが、「CSR/サステナビリティ」などを考慮する「Responsible Leadership(責任リーダーシップ)」とはなにか? 株主至上主義に疑問を投げかける一方、どのようにResponsibility(責任)が認識され、取引先、従業員、環境、将来の世代などのステークホルダーを扱っているのか、株主偏重の短期主義の課題への対応・行動、そもそも「責任」、「リーダーシップ」という言葉はどのような意味があるのか、などアカデミックな立場から大学の教授、また企業の中で実際にシニアマネジメントを行っている実務の観点から、プレゼンテーションとパネルディスカッションが行われました。
今回はアングロサクソンのリーダーシップの観点からの内容が中心でしたが、欧米における、個人として、また企業・組織の中でどのように責任のあるリーダーシップを発揮し振る舞うのか、様々な視点をパネリストや参加者とのネットワーキングから学ぶことができました。これを踏まえ、日本の企業の背景の中で、「責任あるリーダーシップ」をどのように取っていくのか、どのように当てはめることができるのか考えていきたいと思っています。生憎、VWの事件が報道される前だったので、このイベントではVWの件には触れられませんでしたが、まさしく責任のあるリーダーシップが求められていることは、このVWの件でも良く分かると思います。
さて、このようなイベントへの参加やこちらロンドンのCSR/サステナビリティ関係の専門家の友人とも情報交換をしていますが、このようなこちらで得た情報も含めて10月15日・16日に東京にて開催する「英国IEMA認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー資格講習」において、最新情報とともにどのようにCSRを事業に統合するのかを2日間の講習を通して学んでいただく予定としています。(※残席はわずかとなっておりますので、もしご検討されている場合にはお早目にお申込みください)
また10月21日には、サスティービーコミュニケーションズ/サステナビリティ会計事務所様主催の「CSR特講」において「欧州先進企業のCSRの意識と取り組みから考える」ということで一部お話させていただきます。こちらにおいても多くの方とお会いできるのを楽しみにしています。http://www.sustb.com/seminar/index.html

(サステイナビジョン下田屋)

Takeshi Shimotaya for Alterna

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【ブレーンセンター】
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CSRの推進に不可欠な社内浸透教育の重要性(その2)
CSRの推進に不可欠な社内浸透教育の重要性(その3)
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<ビジネスと人権研修の開催>
日時:2016年3月14日(月)・15日(火)
両日とも9:00~17:00
場所:東京

申し込みサイトを開設いたしました。参加をご検討いただいている場合には、お早目にお申込みください。
早割(2016年2月22日迄):10%
団体割引、NGO/NPO、大学関係者、公務員、中小企業割引、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン割引あり
お申込み・お問合せはこちら

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サステイナビジョン ( Sustainavision Ltd. Company No. 7477687)
下田屋 毅
Takeshi Shimotaya (MBA, MSc, CSR-P, 環境プランナーER)
Managing Director, Japan Foundation London CSR Seminar project adviser
ビジネス・ブレークスルー大学講師(担当科目:CSR)
住所: International House, 24 Holborn Viaduct, City of London,
London EC1A 2BN, The United Kingdom
Website: http://www.sustainavisionltd.com/
Twitter: @tshimotaya
Facebook: http://www.facebook.com/sustainavision
在英日本商工会議所会員企業
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