2017.9.27 Sustainavision News Letter Vol.39:ノボ ノルディスクCEOが語るTBLへの強いコミットメント

2017.9.27 Sustainavision News Letter Vol.39:ノボ ノルディスクCEOが語るTBLへの強いコミットメント

英国在住サステナビリティ/CSRコンサルタント・サステイナビジョンの下田屋です。暑い日と涼しい日が交互にやってくる状況で体調を崩しやすい時期だと思いますが、そのような中どのようにお過ごしですか?

このニュースレターは、欧州・英国ロンドンからCSR(企業の社会的責任)/サステナビリティについて、ご連絡をさせていただいております。(このニュースレターは当方が名刺交換をさせて頂だいたりご縁があった方々にご連絡をさせていただいております。)

さて、皆さんトリプル・ボトム・ライン(TBL)という言葉を聞いたことがあると思います。そのTBLを企業経営の中心に据えて活動している「ノボ ノルディスク」という企業がデンマークにあります。今回は、この「ノボ ノルディスクCEOが語るTBLへの強いコミットメント」をお伝えさせていただきます。(Monthly News Letterの定期購読はこちらから)

CSR/サステナビリティの推進は、トップのリーダーシップが不可欠だが、その活動の基本となるトリプル・ボトム・ライン(TBL)の考え方が、トップが交代しても変わらず経営戦略上必要なものとして実行することとなっている企業が「ノボ ノルディスク」です。

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写真撮影:下田屋毅(Novo Nordiskのプレスビジット時のCEOプレゼンテーションから)

ノボ ノルディスクは、糖尿病ケアを90年以上にわたって研究開発、糖尿病分野の世界的リーダーで、デンマーク・コペンハーゲンを本社があります。製品は5大陸165か国以上で販売され、従業員は世界77カ国に現在4万2000人。血友病と成長ホルモン不全のケアでも著しい貢献をしています。

同社が考え方の基本としているトリプル・ボトム・ライン(Triple Bottom Line: TBL)とは、1997年英国のジョン・エルキントン氏が提唱したもので、企業活動を経済面だけでなく、社会面、環境面からも評価し意思決定を行うものです。ノボ ノルディスクでは、その中心に「患者さん」を据えTBLの方法で経営することが、持続性(サステナビリティ)につながると考えています。

同社ラース・フルアガード・ヨルゲンセンCEOは、筆者とのインタビューの際に同社のTBLについての考え方として次のように述べています。

「TBLは、我々が正しい方法でビジネスを行う方法である。持続可能なビジネスと長期的な価値創造のための前提条件であると認識しているため、私たちは常に財政的、環境的、社会的責任を持って行動していきます。」また「TBLは、定款に入っており、ビジネスの原則ということだけでなく会社の目的でもあり、CEOである私がそれを変えることができるものではなく、会社に永遠に引き継いでいかれるものです。定款の変更には株主の同意が必要となるので、TBLが定款にあるということは会社としての非常に強いコミットメントを示しています。」
また、「ノボ ノルディスクは各部門の代表が運営する委員会がTBLを推進しているが、これをさらに強固にしていくことを考えています。CEOである私がTBLのアジェンダを直接実施していく責任を負い、年4回、TBLの状況を確認し優先順位の決定を行っていくことを考えています。」

さらにヨルゲルセン新CEOは、リーダーシップを進める上での重要性を次のように話します。
「我々の究極の目標を達成するために、経営陣がどれだけの時間を割いてTBLの取り組みをしていくのかを従業員に示していきます。この目に見えるリーダーシップは非常に重要で、これにより従業員が信頼してくれると考えています。」

ノボ ノルディスクは、統合報告書に早くから取り組んできており、IIRC(国際統合報告評議会)の推進するプロジェクトにおいて、世界で最も先進的な統合報告書を発行し、内外認める中心的な役割を果たしリーダーシップを発揮してきました。また、長年人権にも取り組んできており、国連ビジネスと人権に関する指導原則に基づき人権デューディリジェンスを進め、先進的に取り組みを進めてリーダーシップを発揮し、同業界・他業界へも良い影響をもたらし世界をけん引しています。

さらにヨルゲンセン新CEOは、TBLの重要性について次にように話します。
「このTBLの経済、環境、社会の3つの側面は、どれかが優先されることはなく、会社にとって同等に重要なものです。それぞれのステークホルダーは、それぞれ違う優先項目をもっています。我々は四半期決算の開示をすることで、財務的な数字に関しては外部からより焦点があてられています。しかし会社を経営していく上では、経済面だけでなく他の環境・社会の2つの側面も同時に実施していくことが求められているのです。

例えば、患者に焦点をあてずに、イノベーションも生み出さず、良い製品を提供できなければ、多くの患者が犠牲になり、財務的にも立ち行かなくなります。また、工場において環境に配慮した活動をせずに工場からの排気が近隣の大気を汚染していることがあれば、株主から見て企業として信頼できない状況となり、また患者からもその製品を好んで使用してもらうことはなくなります。これらの側面はそれぞれつながっているのです。そして会社として短期的にも長期的にもTBLに関してうまくバランスをとっていくための意思決定をしていく必要があると考えています。経営陣は、経済面でのプレッシャーとともに、今まで以上に環境・社会面に対してステークホルダーからのプレッシャーを感じています。TBLに関して経営陣がトップダウンでバランスを保ちながら進めることが必要不可欠となってきていると認識しています。」

このようにノボ ノルディスクは、TBLが定款にはいり、CEOや経営陣がTBLの重要性を認識しトップダウンで進めるとともに、従業員からのボトムアップで実践される模範事例になります。同社の取り組みを是非参考にし、社内のトップ・経営陣は意識改革を行い、TBLを基本としたサステナビリティの推進を進めていただければと思います。(了)

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<サステイナビジョンからのお知らせ>

<第14回サステナビリティ(CSR)プラクティショナー資格講習>
世界のCSR/サステナビリティ分野では非常に大きな動きが起きています。欧米の先進企業は、地球規模で発生している気候変動などの環境課題への対応、またサプライチェーンを取り巻く環境問題、そして人権問題に対応するために、CSR/サステナビリティを中核に据えた企業戦略を打ち出しており、この認識・行動が遅れている企業は今後淘汰されてしまうかもしれません。本講習では、ロンドン在住CSRコンサルタントが講師として、欧米企業が何故CSR/サステナビリティに取り組むのか、またそのトレンドを踏まえて、最新事例とともにCSR/サステナビリティを事業戦略に統合する方法をお伝えいたします。


・日時:2017年10月19日(木)・20日(金) 両日とも9:00~17:00
・場所:東京都港区
・定員:15名
※団体割引、NGO/NPO、大学関係者、公務員、中小企業割引あり
お申込み・お問合せはこちら

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<英国ツアー(10/31~11/4)を開催!>

「ロンドンにおけるメガスポーツの祭典のレガシーとCSR調達基準」と題して、英国へのツアーを企画しています。このツアーでは、東京オリンピックをふまえ、CSR/サステナビリティ/ビジネスと人権に関して、企業が今何を考えて、どのように行動するべきか、企業戦略にどのようにこれら重要項目を統合し進めていくことが求められているのかを学びます。

トリプルボトムラインの提唱者であるジョン・エルキントン氏、ロンドンオリンピック・パラリンピック組織委員会サステナビリティ責任者のデイビット・スタブス氏他普段では滅多に会うことができないサステナビリティのエキスパートからワークショップを通じて、また講演を通じて直接学びます。申し込み期限まであと少し、まだ間に合いますのでこの素晴らしい機会をお見逃しなく。

詳細な情報とお申込みはこちらのリンクをご確認ください。https://eco.his-j.com/app/webroot/html/lon2017/
また、このツアーのご質問は、こちらでも受け賜っております。http://www.sustainavisionltd.com/contact/

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<英国イベント情報>

 【Innovation Forum イベント】
弊社とInnovation Forumとの提携によりコード「 SustVision15」をお申込みの際に入力されますと以下のイベントが15%割引となります。

・How business can tackle ocean plastic pollution
Develop and meet targets for reducing your ocean footprint. Build effective partnerships for innovation
開催日:2017年10月26日・27日
場所:ロンドン

・Business and human rights: manage risk, implement policy and secure relationships

開催日:2017年11月1日・2日
場所:ロンドン

・How business can tackle deforestation
The newest methodologies, technologies and industry examples for implementing zero deforestation policies
開催日:2017年11月14日・15日
場所:ロンドン

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<編集後記>

前回のニュースレターを発行してから時間がだいぶ経過していましました。皆様お元気でいらっしゃいましたでしょうか?

今回は、お読みいただきました世界のCSR/サステナビリティの先進企業である「ノボ・ノルディスク」について取り上げさせていただきました。ノボ・ノルディスクは、プレス向けに企業活動を伝えるプレス・カンファレンスを年1回開催しており、そこに参加させていただきました。そして、ラース・フルアーガー・ヨルゲンセンCEOや、スザンヌ・ストーマーCSOとインタビューをさせていただき、直接CSR/サステナビリティに関することをお伺いさせていただきました。今回の記事からもお分かりになりますようにノボ・ノルディスクは定款にトリプルボトムライン(TBL)が記載されているので、CEOが変わっても考え方の軸がブレずにTBLを実施しています。そして強調されているのは、ビジネスを通じて、環境面、社会面について実施しているということなのです。トップ、経営陣からTBLをベースにCSR/サステナビリティを推進する上でどのように考え、そして進めているのか直接お伺いすることができ私にとってもとても有意義な時間となりました。
また近日中にスザンヌ・ストーマーCSOとのインタビュー記事についてSustainable Brands Japanへ掲載されますので、そちらについても是非お読みいただければと思います。

また、ニュースレターが配信されなかった機関におきましては、マダガスカルへのフィールドトリップ(6月)、ロンドンやアムステルダムでのカンファレンスの参加、またセルビアにおける日系企業の研修のサポート(8月)などロンドンをベースに活動を継続していました。また最近では日本での滞在も増えて1年のうち半分は日本に滞在しております。またその間、日本の企業の皆様のサポートはもとより、アジアにいる機会を活用してベトナム、バングラデシュ(8月)などにも出かけております。特にバングラデシュでは、2013年に倒壊したラナプラザビルの跡地も訪問し、サプライチェーン上におけるこのような悲惨な事故が発生しないようにお祈りを奉げました。またこれらの情報についても、このニュースレターや他のメディアを通じて発信していきますので、記事を目にされたらお読みいただければ幸いです。

また、1年に2回日本で開催をしております「英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー資格講習」を来月10月19日(木)・20日(金)に東京で開催いたします。普段欧州などで入手している最新の情報を踏まえて、どのようにCSR/サステナビリティを進めていけばよいのかを2日間双方向のやり取りやグループディスカッションなどを行いながら学ぶ機会となりますので、是非こちらもご活用ください。

またもう締め切り間近ですが、「ロンドンにおけるメガスポーツの祭典のレガシーとCSR調達基準」と題して、英国へのツアーを10/31~11/5で企画しています。特に今回の記事のTBLの提唱者であるジョン・エルキントン氏など普段では滅多に会うことができないサステナビリティのエキスパートからワークショップを通じて、また講演を通じて直接学ぶ機会となっていますので、ご関心がある方はこの素晴らしい機会をお見逃しなく。

それでは、今回もニュースレターを最後までお読みいただきありがとうございました。何かご意見やご要望などございましたら、このニュースレターへのご返信をいただければ幸いです。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(サステイナビジョン下田屋)

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最近の寄稿記事はこちらから

【オルタナオンライン&CSR Today】
・欧米企業はなぜサプライヤーを公開するのか?–下田屋毅の欧州CSR最前線(55)
シリア難民の児童労働、企業イニシアティブが必要–下田屋毅の欧州CSR最前線(54)
・世界で加速する人権への関心–下田屋毅の欧州CSR最前線(53)

・現代の奴隷?英国現代奴隷法の日本企業への影響–下田屋毅の欧州CSR最前線(52)
・加速する世界の水リスク対応―協働からイノベーションへ–下田屋毅の欧州CSR最前線(51)

【サステナブル・ブランド・ジャパン】
世界の現代奴隷4030万人、7割が女性
ノボノルディスクCEO、TBLをさらに強化
欧米企業はなぜサプライヤー公開するのか
シリア難民の児童労働、企業イニシアティブが必要
・世界で加速する人権への関心

【環境会議】
2016年秋号:マークス・アンド・スペンサーの戦略的CSRと経営

【東洋経済オンライン】
ここが変だよ!日本のCSR

【Sustainable Japan】
・第5回国連ビジネスと人権フォーラム(速報)~下田屋毅氏の欧州CSR最新動向~
英国現代奴隷法、日本企業はどう対応するべきか~下田屋毅氏の欧州CSR最新動向~
第4回国連ビジネスと人権フォーラム参加報告~下田屋毅氏の欧州CSR最新動向~

【CSOネットワーク】
・ 「第4回国連ビジネスと人権フォーラムについて(報告)」
エレン・マッカーサー財団インタビュー

【レスポンスアビリティ”サスナビ!”】
・ 欧州ここだけの話

【サステナビリティ・コミュニケーション・ハブ】
・共感を呼ぶ、行動につなげる「サステナブル・ストーリングテリング」
・企業のESG情報はどのように収集・活用されているか(ブルームバーグ)
・マークス&スペンサーが実践するサステナビリティ

【ZUUオンライン】
・現代に潜む「奴隷制」ーー世界が日本企業の対応を注視している 
企業は新興国とどのようにビジネスすべきか
SDGs は企業の世界戦略の新潮流となるか
・日本企業が見習うべき「欧州CSR優良企業」5選(後編)

【CSRコミュニケート】
・CSVとネスレの人権に関する取り組み:後編(2014/5/6)
・CSVとネスレの人権に関する取り組み:前編(2014/5/6)

【ブレーンセンター】
英国現代奴隷法、日本企業はどう対応するべきか
CSRの推進に不可欠な社内浸透教育の重要性

 

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サステイナビジョン ( Sustainavision Ltd. Company No. 7477687)
下田屋 毅
Takeshi Shimotaya (MBA, MSc, CSR-P, 環境プランナーER)
Managing Director, Japan Foundation London CSR Seminar project adviser
ビジネス・ブレークスルー大学講師(担当科目:CSR/サステナビリティ)
住所: International House, 24 Holborn Viaduct, City of London, London EC1A 2BN, The United Kingdom
Website: http://www.sustainavisionltd.com/
Twitter: @tshimotaya
Facebook: http://www.facebook.com/sustainavision
在英日本商工会議所会員企業
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