2015.1.19 Yahoo Japanニュースとオルタナオンラインにサステイナビジョン代表取締役下田屋の記事「真に持続可能な綿花栽培を目指す「ベター・コットン・イニシアティブ」」が掲載されました

真に持続可能な綿花栽培を目指す「ベター・コットン・イニシアティブ」――下田屋毅の欧州CSR最前線(43)

欧州を拠点に活動を広げている「ベター・コットン・イニシアティブ」(BCI)は、「持続可能なコットンの生産」を包括的に目指すNGOだ。農薬使用量の削減、収益性向上など具体的な目標を設定した戦略的アプローチが特徴で、アディダスやH&M、IKEA、ナイキといった多くのグローバル企業が参加している。北アメリカ地域メンバーシップエンゲージメントマネージャーのダレン・アブニー氏に今後の展望を聞いた。(聞き手・下田屋毅=在ロンドンCSRコンサルタント、翻訳・岩間莉絵=サステイナビジョン・リサーチアナリスト・インターン)

――世界中の多くの企業がBCIに興味を持ち始めています。しかし、残念ながら日本企業にはまだあまり知られていません。改めてBCIの活動について教えて頂けますか。

BCIは非営利法人として運営を行い、綿花生産者、綿花が育つ環境、綿花産業の未来のために、綿花生産をより良くするために存在しています。私たちは、より持続可能な方法で生産された綿花を「ベター・コットン」と定義しています。

BCIでは、ミッションを実現するため、農地から販売店まで、セクターを越えて人々と組織をつないでいます。2020年までに500万の農家と協働すること、全世界の綿花生産の30%を占めることを目指しています。

■ 繊維産業が抱える深刻な課題

――繊維産業が抱える問題と、どのように問題解決に取り組んでいるかについて教えていただけますか。

多くの人は繊維産業が抱える問題を、バングラデシュの縫製工場ビル倒壊や児童労働などだと考えています。

ところが、これらの問題と同じくらい深刻で、何百万人もの人々を巻き込むさらに大きな問題があります。

それは、水管理、土壌の枯渇、労働条件、スーパー雑草(農薬の効果がない雑草)、除草剤の使用量の急増、監査の質――といった問題です。これらの問題はサプライチェーンのさらに下層で起こるため、多くの主要ブランドのレーダーから外れています。

BCIはこうした問題に対処するために設立されました。BCIは6つの原則、それらの原則に呼応する44の基準、進捗状況を測定する8つの指針と共に、生産基準を作ることで問題に対処してきました。

BCIは農家、綿繰り職人、トレーダー、紡績業者、ミル、裁縫、製造業者、小売業者、ブランド、草の根組織を集め、「ベター・コットン」を主流にするためのグローバルコミュニティーです。

――アディダス、H&M、リーバイス、IKEA、ナイキ、マークス&スペンサーがBCIの創業当時からのメンバーですが、BCIはこれらの企業に対してどのようなことをしていますか。

綿花は世界で最も重要な天然繊維の一つです。地球上のほとんどすべての人に毎日使用され、2億5000万人の暮らしを支えています。私たちが綿花を責任持って扱う場合に限り、綿花は再生可能な資源となります。

BCIは、ベター・コットンの基準を提供することで、メンバー企業が従来型の綿花の使用から、より持続可能な使用に転換することを可能にしています。

BCIメンバー企業は、オンライン追跡システムや、ベター・コットンがもたらす恩恵について顧客を含むステークホルダーに伝えるためのマーケティング資料、サプライチェーンエンゲージメントの支援などにアクセスすることができます。

■ 農家の暮らしを守る

――BCIは農家と農業労働者の暮らしや労働条件の支援も行っていると聞いています。

BCIは、次の6つの生産原則を確立しています。

1)適切に農薬を使用しながら、作物保護への取り組みの有害な影響を最小化する
2)効率的に水を使用し、水資源の利用可能性を考慮する
3)土壌の健全性を考慮する
4)自然生息地を保全する
5)繊維の品質ケアを行い、維持する
6)きちんとした労働基準を促進する

ベター・コットン保証プログラムは、パフォーマンススケールに取り組んでいます。

例えば、妊娠・授乳中の人は農薬に触れることはできません。健康で訓練を受けた18歳以上の人だけが農薬の準備をしたり、使用したりできます。また、労働者や従業員は団体交渉権の権利を有しています。

――特に綿花の消費において、企業の環境また社会的パフォーマンスへの将来の傾向についてどのようにお考えですか。

コストとならない限り、消費者がより持続可能で責任のある製品を求める傾向はあると思います。近年、繊維産業は、マスメディアで認知度を上げていますが、それでもなお平均的な消費者の中では、繊維産業の影響に対する著しい誤解があります。

BCIは、より持続可能な方法で生産された綿花を提供することで、企業にとって、原料である繊維が失われるリスクを削減しています。

アディダス、H&M、IKEA、リーバイス、マークス&スペンサー、ナイキなどの国際的なブランドは製品にベター・コットンを使用しています。これらの企業とすべてのBCIメンバーのサポートは、より多くのベター・コットンが市場に参入してきていることを意味します。

2013年、世界で生産された綿花の3.7%がベター・コットンでした。2020年までに、私たちはこの数字を30%にしたいと考えています。それは、農家にとって、環境にとって、綿花産業にとって、私たち全員にとって良いことなのです。

――BCIは、企業が境界を超えて公的機関、民間企業、ボランティア団体との関係性を築く手助けをしていますね。

私たちのパートナーは世界中でベター・コットンをスケールアップさせる上で重要な役割を果たしています。パートナーは一般的に特定の地域において、ベター・コットンへの重要なリーダーシップを発揮しています。

彼らは、農場レベルの研修や支援活動を通して、ベター・コットンが採取される環境や農家、その労働者の生活に与える影響の証拠となる農場レベルのデータを収集するために、農家がベター・コットン・スタンダード・システムに参加できるように農家の能力構築にも責任を負っています。

私たちはブラジル綿花生産者協会、コットンオーストラリア、マリのAPROなどの国内または地域の綿花生産者の組織とパートナーを組んでいます。

中国政府、モザンビークのIAMなどの綿花の生産・マーケティング・加工・販売と関わりのある政府や行政機関もあります。

ベター・コットンを育て、促進し、販売するために特別に作られたトルコのIPUDなどの機関や、Cotton Made in Africaなどの綿花産業におけるサステナビリティの促進に尽力するイニシアティブがあります。

私たちがBCIスタンダードを農家レベルでどのように導入するかという点において、導入を行うパートナーは、私たちのモデルにとって非常に重要となります。

彼らは、直接的な農家への働きかけ、または訓練されたトレーナーを通して、ベター・コットン・システムが導入され、しっかりとしたデータを農場レベルで収集することが可能となるように能力構築作業を実施し、農家がベター・コットン・システムに参加することを可能とする環境を創り出します。

◆1月23日「責任のある綿花調達セミナー」のお知らせ
興和株式会社は1月23日、BCI、フェアトレードジャパン、テキスタイルエクスチェンジと共に「責任のある綿花調達セミナー」を実施します。

本セミナーは、日本の一流の小売業者やブランドに、サステナブル・コットンという選択肢の認識と理解をもたらすことを目的としています。ベター・コットン・イニシアティブ・アメリカ地域メンバーシップエンゲージメントマネージャーのダレン・アブニー氏も登壇します。

イベントは午後1時半から6時まで、千駄ヶ谷区民会館(東京・渋谷)で開催されます。申し込みは、Textile Exchangeイベント事務局(興和株式会社開発生産部内)まで。

オルタナオンラインへのリンク:
http://www.alterna.co.jp/14396

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