2014.10.6 Yahoo Japanニュースとオルタナオンラインにサステイナビジョン代表取締役下田屋の記事「2050年までのCSR戦略:ネット・ポジティブ」が掲載されました

2050年までのCSR戦略:ネット・ポジティブ――下田屋毅の欧州CSR最前線(41)

ビジネスの新たな潮流は、「削減」や「制限」をすることから、「自然のバランスを回復することにフォーカスすること」へとシフトすることで、ビジネス上のサステナビリティの意味も変化してきている。新たなアプローチは、企業が「自然を回復する」企業に変身するというものである。

これはネットポジティブ・プログラムとして、フォーラム・フォー・ザ・フューチャー、クライメイト・グループ、WWF-UKなどのNGO等を含むワーキンググループで実施されており、この運動を牽引している企業が「キングフィッシャー」である。同社は、英国、フランス、アイルランドをベースに、B&Q、カストラマ、ブリコデポといったホームセンターを所有する欧州最大の企業で、「ネット・ポジティブ」というCSR戦略を実施することを昨年発表した。

キングフィッシャーは、「ネット・ポジティブ」がビジネスを行うための新しいアプローチだと位置付けている。事業活動が環境・社会に与える負の影響を最小限にするだけでなく、それ以上を行う必要があり、地球にとってプラスの影響を与えるように設計し実現するというものだ。

同社は、「今日のシステムは崩壊していて、世界の資源の使用は供給を上回っている。それを新しいビジネスのアプローチであるネット・ポジティブでリーダーシップを発揮し、地球環境にプラスの影響を与えることを実現する必要がある」としている。

同社グループ最高経営責任者イアン · チェシャー卿は、「ネット・ポジティブは、不確かな将来、資源不足、社会的不平等、地球規模の気候変動への対応である」とし、さらに「我々は、長期間に渡り地球の自然資本への依存が必要であることを認識している。例えば、紙や木材を含む当社の製品は約40%にも及んでいる。

世界の森林は継続して減少しているのを黙ってみている余裕はない。我々は既に洪水などの異常気象に気候変動の影響を感じ、それらがビジネスにも影響していることを認識している」と語る。

また同社は、マークス&スペンサーの前プランA(サステナビリティ)部長であった、リチャード・ギリース氏をサステナビリティ部長に任命し、ネット・ポジティブの考えを事業戦略に統合させている。ギリース氏は、「ネット・ポジティブを成功させるために、我々は、サステナビリティについてシステマティックで統合されたアプローチを取る必要があり、自社のビジネスモデルに根ざしているものでなければならない」と述べている。

この「ネット・ポジティブ」は、2050年までの長期のCSR戦略で、土台として「従業員」「サプライヤー」「環境」を据え、

その上に①木材、②エネルギー、③イノベーション、④コミュニティの 4つの大きな優先分野を設定し、2050 年までに「ネット・ポジティブ」な企業になるという長期的な目標を掲げている。

■キングフィッシャーのロードマップ

同社が掲げた、2050年までのロードマップは次のようだ。

① 2012-2020:ポジティブな影響を及ぼす。
ネット・ポジティブ・プロジェクトのパイオニアとして、リーダーシップを発揮し、4つの重要な分野に焦点を当て、ネット・ポジティブ企業へ移行する実質的なステップを作る。

② 2021-2035:ネット・ポジティブの転換点
ネット・ポジティブが意思決定や企業活動を後押しし、ノーネットロス(ニュートラル)の状態へとシフトする。技術的・経済的に実現不可能である場合を除いて、4つの分野の新たな取り組みのほとんどでネット・ポジティブの影響を及ぼす。

③ 2036-2050:プラスの影響を及ぼす。ネット・ポジティブ
事業活動において、4つの分野でネット・ポジティブの効果を及ぼし、ビジネス全体でネット・ポジティブの状態を作る方法を生み出していることを期待する。

現時点では、まず2020 年の目標に向かって活動を推進しており、4つの分野で大きく次の目標を掲げている。木材分野では、すべての事業で、木材・紙について持続可能な資源からの原料調達100%とする。

エネルギー分野については、顧客への38TWhのエネルギーの節約。店舗のエネルギー使用を45%削減する。イノベーション分野では、サーキュラー・エコノミーのアプローチに沿って、1000の製品を2020年までにクローズド・ループとする。コミュニティ分野では、4000個のコミュニティ · プロジェクトを達成する。

キングフィッシャーは、サステナビリティに関するロードマップを提示し、その目標に向かって企業がどのように実施していくのかをうまくステークホルダーに伝えることができているよい事例だ。是非参考にしていただきたい。

オルタナオンラインへのリンク:
http://www.alterna.co.jp/13773

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