Sustainavision Monthly News Letter Vol.16:企業と水リスク2014Sustainavision Monthly News Letter Vol.16:Corporate Water Risk 2014 was issued on 4th of February 2014.
This is only available in Japanese.

いつも大変お世話になっております。ロンドン在住CSRコンサルタント・サステイナビジョンの下田屋です。
ロンドンはここのところ非常に良い天気が続いており気持ちが良いです。ロンドンにいらしたことがある方は知っていらっしゃるかもしれませんが、ロンドンには、リスがたくさんいて、木の周りをうろちょろしています。また、キツネもたまに見かけます。ロンドンという都会でも少し繁華街を離れると日本の都会よりもまだまだ自然な雰囲気が感じられるような気がします。

このニュースレターは、欧州・英国ロンドンからCSR(企業の社会的責任)につきまして、ご連絡をさせていただいております。(お名刺交換をさせて頂きました方、当社主催の講習会にご参加頂ききました方、欧州新CSR戦略和訳のダウンロードをして頂いた方等ご縁があった方々にご連絡をさせていただいております。)

さて今回は、先月1月21日に「企業の水リスク2014」が、ロンドンのシティで開催され参加してまいりましたので、その報告をさせていただきます。
この「企業の水リスク」という会議には、前回開催された2012年10月にも参加しましたが、今回は、CDPなどのNGOから企業への質問状を送付するなどのプレッシャーが年々強くなっている背景があり、企業参加者の関心はより高く、そして水リスクに対応する企業の事例がより具体的な取り組みとなっていることを感じるものでした。
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議長兼進行役で、Alliance for Water Stewardship、北米地域イニシアティブコーディネーターのリサ・W・ダウンズ氏は次の点をポイントとして挙げました。

  • 水の環境影響に対するリスクと機会に基づいて、意味のある、実践的な目標を設定すること。
  • サステナビリティは、慈善事業のようなものではなく、企業の事業運営に組み込まれるべきものだ。
  • 水使用の効率化は、とても重要なベースラインだが、ウォーター・スチュワードシップのアプローチは、より包括的に水のリスクについて軽減するものである。
  • 社内外のステークホルダーとの協働が鍵となる。


CDPによる水の情報開示要請の高まり

英国NGOのCDPは、2010年から水の情報開示を企業に求め始めています。それらは、「水資源」「水リスク」「水使用」に関する調査です。CDPは、2013年には世界1036社(その内日本企業21社)を対象に水の情報開示に関する質問状を配布、593社が回答、前年比59%増となっているとのことです。CDP水部門トップのケイト・ラム氏は、「企業と投資家は一緒になって、水がもたらす世界的な課題に、効率的に、そして迅速に取り組む必要がある。」と話します。また、「2014年は水の情報開示の質問状の改訂を予定し、日本とインドについて質問状を配布する対象企業を拡大、2015年は、中国、ラテンアメリカ、ヨーロッパにおいて強化を進めていく。」とのことでした。
また、CDPの水プログラムへの投資家の署名数は530で、この3年間で4倍となり、投資家からの水リスクへの関心が高まってきていることも表しています。署名をした投資家の資産は57兆米ドル(5千7百兆円)にも上ります。

WWF-UK水部門トップのクレア・ブレムリー氏は、水リスクに関して、「水リスクは、企業、政府、そしてNGOとで共有されるもので、それぞれとの協調した行動が必要である。水の消費の効率を改善するだけでは水リスクを軽減するのに十分ではない。また、集水域内の他のステークホルダーとのエンゲージメントが必要であり、これらを達成するのに多くのツールやガイドラインが役立つ」としています。また、投資家からの水の情報開示の要求も今後さらに高まってくるとのことでした。

クレア氏のプレゼンテーションの中で流されたWWF-UKのウォーター・スチュワードシップのビデオはこちら。


企業の水リスクへの取り組み

英国とオーストラリアに本拠をおく多国籍の鉱業・資源グループである「リオ・ティント」は、40カ国において鉱山や工場などを操業しています。リオ・ティントは、自社の事業所がある世界の各地域の水のリスクについて特定、「水マネジメント」は採掘・加工や事業所運営に不可欠として積極的に投資をしています。水に関するリスクは地域によってリスクが異なる為、「水の制約」「水の余剰」「生態系への影響」の設定についてそれぞれ実施し、またリオ・ティントの水へのアプローチは、次の3つで構成しています。①水に関するパフォーマンスの改善、②水資源価値の会計数値化、③水に関するステークホルダーのエンゲージメント。リオ・ティントの環境・エネルギー・気候変動に関するグローバル・プラクティス・リーダーであるマシュー・ベイトソン氏は、「水に関するターゲットを2008年~2013年の間、製品のトン当たり淡水使用量6%削減を目標に掲げたが、3.6%削減にとどまった。この教訓を踏まえ、地域の特性をより考えた、リスクベース、定量測定、監査可能なパフォーマンスを含んだ新たな水の目標を立てていく。」と話しました。

世界各国にて展開するユニリーバ社の英国法人ユニリーバUKでは、行動科学部長のリチャード・L・ライト博士が、ユニリーバが同社のCSR行動計画であるサステナブル・リビングプランの中で研究を進めており、水の使用に関する人間の行動について発表しました。ユニリーバUKでは、シャワーにおいてユニリーバ製品が使用されるにあたり水の使用量がどの程度かの消費者の行動を測定し、消費者にサステナビリティについての意識を与えるため、行動測定を行い、それらの評価や、消費者に対する教育も実施していくとしています。また、行動についての変化を持続可能にする補完的な専門知識とそれに関わるビジネスモデルを提供するパートナーシップをも形成していくとしています。これは、ユニリーバが世界的に展開するサステナブル・リビンプランの中で、消費者を巻き込んで水リスクに対応するという究極的な目標を達成しようとしている一環です。

水資源の確保は世界の地域によっては今後より難しくなることが予想されます。事業所・工場、サプライチェーン上での水リスクの管理戦略が必要となってきていて、欧米の企業は、水資源に関わる活動を事業戦略上不可欠のこととしてNGOそして競合他社であっても一緒に協調行
動を始めています。これらを踏まえ世界の水リスクに気づいている企業は対応するために動き始めているので、是非日本企業の皆様には、行動を起こしていただきたいと思っています。

その他当日に流れた他のビデオは以下です。
Molson Coors Our Beer Print